ドラマ 再生の町

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「再生の町」に寄せて
 「再生の町」は、財政破綻に直面した一地方都市を再生させるために奮闘する、市役所職員たちの姿を描いた物語です。一方、このドラマには、「一度、人生に打ちのめされた中年男の復活劇」という、もうひとつのテーマがこめられています。
 現実に進められた「再建」の資料を眺めながら実感したことは、「町の再生」に必要なものは、まず「人々の再生」であるということでした。
 ご覧いただく皆様に、それをお伝えできれば幸いです。



プロフィール

1966年生まれ。神戸市出身。
関西を拠点に活動する劇作家。
主な作品に読売文学賞戯曲「パウダア」、土曜時代劇「オトコマエ!」ほか。



レコーディングを終えて
  財政破綻した町からの再生・・・
    そこに生きる様々な人々は切なくも力強い。
 この物語のために書いた音楽のジャンルはかなり多岐にわたっている。ストリングスを中心とした壮大な曲やケルティックな曲、フリージャズやミニマルから、登場人物がストリートで歌う挿入歌に、果ては盆踊りの唄まで作った。それらは一見バラバラにも見えるのだが、それぞれの人間がそれぞれに抱く喜び、悲しみ、怒り、弱さや力強さ、あるいはその人々の目に映る風景も、それほどに振り幅の激しいものだと思っている。
 そうした思いからこのような様々な音楽表現になり、全曲を通せば1時間40分を越える長さにもなったのだが、その割にはいつになくゆったりと落ちついた精神状態で作っている自分がいたのは、このドラマが持っているエネルギーを信じている人たちの中のひとりだったからではと思っている。



プロフィール

1958年生まれ。東京在住。
主な作品に木曜時代劇「新はんなり菊太郎」、映画「ゲド戦記」ほか。2004年度映画「半落ち」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。



 今回、厳しい現実を描いたこのドラマに、どんな曲がふさわしいだろうかと思案していたところ、シンガーソングライターの川江美奈子さんが素晴らしい曲を贈ってくれました。

   “宝物はただひとつだけ
     幸せでいるあなたの未来…”

 いつもならレコーディングの際に特定の対象を意識することはないのですが、今回、ごく自然に娘のことを思いながら歌っている自分がいました。

  母として、娘の未来を守っていきたい…
  そのために今を大切に生きていきたい。

 そうした思いをこの曲の中で素直に表現できたことをとても嬉しく思います。
 このたおやかな作品「宝物」が、静かに。でも力強く、ドラマを見る方々の心の奥深くに届いてくれることを願っています。



プロフィール

1963年宮崎県出身。CMやファッション誌、ドラマ等で活躍する中、1986年シングル「黄昏のモノローグ」で歌手デビュー。以降、シングル「PIECE OF MY WISH」「瞳がほほえむから」など等身大の歌詞と透明感溢れる歌声で数々のヒット曲を発表、中でも1996年のシングル「PRIDE」は160万枚を超えるミリオンセラーとなり、男女問わず幅広い層からの絶大な支持でトップシンガーとしての地位を確立する。父親譲りの生粋のジャズ・ファンでもあり、近年ではポップス界のみならず、JAZZTRONIK、島健、大野雄二など、様々なアーティストとのコラボレーションを繰り広げてきた。
また、2004年には東京フィルハーモニック管弦楽団とのシンフォニックコンサートや2007年世界遺産「姫路城」でのコンサート、そして自身の憧れであったステージ「BLUE NOTE TOKYO」でのライブを実現させるなど枠にとらわれず幅広いトライアルをし続け、多くのファンを魅了している。



 大学卒業以来勤めてきた横浜の老舗デパートが買収され、職を失った主人公・高岡駿馬、40歳。母の介護という事情もあって、故郷・大阪府なみはや市に妻・樹と共に戻り、亡き父が勤めていた市役所に再就職を果たす。平穏な第二の人生が送れると思っていた矢先の2007年3月。市の財政危機が発覚し、水元市長が急遽立ち上げた「財政再建プロジェクトチーム(PT)」の一員として、駿馬は召集される。民間企業での経験に白羽の矢が立ったのだ。
 プロジェクトチームリーダーは定年間際の職員・間宮哲夫。かつて駿馬の父の部下だった男だ。メンバーは他に、財政課課長の桂木、保険収納課で現場一筋の女性職員・田村、エリート若手職員の橋本、そして民間経営コンサルタントの光野。わずか4か月という期間で“一律15%の予算削減”を目指す、PTメンバー6人の怒涛の日々が始まる。
 削減対象は、市民の希望が託されているニュータウン計画などの都市計画事業、低所得層の生活を支援する市営住宅事業、さらには福祉、医療、教育といった「聖域」にまで及ぶ。市営住宅に住み貧困にあえぐ少女、仕事がなくて国民健康保険料が払えない一人親方、老老介護に苦しむ認知症老人などとの出会いを通じて、駿馬は切迫した現状と向き合い逡巡しながらも必死に「極限の削減案」を作成しようと奮闘していく。
 財政再建案の作成に取り組む中で、駿馬は、10年前に父が町の財政状況の行く末を憂い、一度は再建案をまとめながら、“なみはやのドン”こと市議会議員・権藤と前市長の圧力で潰された事実を知る。父が平穏無事に仕事をしていただけでなく、死ぬ間際まで町のために闘っていたことに、駿馬は強い衝撃を受ける。一方、前市長の実子として「負の遺産」を一身に背負うことになった水元市長は、内心では改革の必要を感じつつも、父の代からの恩義もあって権藤の反発を止められず、苦悩の日々が続いていた。
 1か月後、ついにPTによる財政再建に向けた試案が完成。間宮と駿馬は水元市長を説得し、その試案をもとにした公開部局折衝を実施し、民意を問う。町の長年の悲願であったニュータウン事業の全面凍結、市民病院の経営縮小など大幅な削減プランが世に公開され、市民の反発がPTに押し寄せる。ニュータウン事業絡みで利権を得ていた権藤からも痛烈な逆襲を食らう。
 そんななか、リーダーの間宮が病に倒れ戦線離脱し、PTは一気に危機に陥る。PTメンバーに自分を選んだ間宮と亡き父の果たせなかった思いを背負い、駿馬は自らリーダーとしてPTを引っ張っていく決意を固める。果たして、「町の再生」に向けて一歩踏み出すことができるのか?駿馬たちPTメンバーは最終案をもって水元市長に決断を迫り、町の命運を賭けた最後の公開部局折衝に臨む…。




放送にあたって
 「名もなく、感謝もされず、それでも粛々と職務を遂行する…。市民に奉仕すること、それがわしら公務員の責任や」このドラマに登場するセリフです。「再生の町」は、財政破綻寸前の「ふるさと」の再建に取り組む公務員たちの奮闘を描く物語です。彼らは、医療や福祉といった行政サービスに頼るしか生きる術がない困窮した市民たちの厳しい現状を目の当たりにして、自らを犠牲にしても市民の幸せのために力を尽くすことを決意します。このドラマでは、そうした「損得ではない、人を思いやる気持ちの尊さ」を描きながら、安心して命を育み、次の世代に引き継いでいける「ふるさと作り」のあり方を模索していきます。「ふるさと作りに本当に必要なものは何なのか?」「ふるさと作りのために一人一人ができることは何なのか?」なかなか答えを出すのは難しいですが、このドラマを通じて視聴者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。




演出にあたって
 昨年の11月末、この番組の取材で北海道夕張市をたずねました。週末にも関わらず町に人はまばらで、「財政破綻」の現実を目の当たりにする一方、お話をうかがった若手の市職員や市民の方々の明るさに、「再生」へのヒントを感じ取りました。その帰路、関西国際空港に降り立つ際に見た大阪の夜景はとても輝いていました。しかし、この光の下に暮らす人々は、自分の町の「危機」が、そこまで迫っていることにまだ気づいていない…。その時の思いを胸に、素晴らしいキャストのお力を借りて、番組を作り上げました。このドラマを多くの方にご覧いただき、自分の住む町、家族の暮らす故郷、それぞれの大切な場所の未来に、思いを馳せていただければ幸いです。

http://www.nhk.or.jp/dodra/saisei/next/index.html

再生の町
-ふるさとが破綻するとき 私たちは何を守るのか…?-
 
地方自治体の「財政破綻」と「再生への道のり」をリアルに描く!
主人公は地方公務員。ふるさとを守るため、生活や命と直結する「行政サービス」の何を残し、何を削るのか…?
大阪府内の架空の町「なみはや市」を舞台に、「財政再建案」の作成に奮闘する市役所職員たちの人間模様と、
切実な問題を抱える地元住民との心の交流を描きながら、「まち作り」のあり方を問う。
財政問題と苦闘している大阪発ならではの本格社会派ドラマです。

【放 送】 2009年8月29日 放送開始(連続5回)
   毎週土曜  総合 午後9:00~9:53 / BShi 午後6:00~6:53
   ※BShiは第1回のみ午後5時からの放送です。

【 作 】 菱田信也 山本雄史(第4回 共同執筆)

【音 楽】 寺嶋民哉

【主題歌】 今井美樹

【出 演】 筒井道隆 段田安則 南果歩 矢島健一 久保田知洋 牧瀬里穂 岩本多代 吉田栄作 近藤正臣 岸部一徳 ほか

【演 出】 吉田努 安達もじり

【制作統括】青木信也




 倒れた間宮(岸部一徳)の代わりにチームのリーダーを志願した高岡駿馬(筒井道隆)は、「市民の積極的な参加による開かれた新しい行政」への転換を訴えるが、権藤(近藤正臣)はニュータウンこそがこの町の希望だと反論する。水元市長(吉田栄作)は、前市長である亡き父親の名誉を守るべきか、今困っている市民の生活を守るべきかで大いに悩む。そんななか、大勢の市民を集めて、ニュータウン計画の存廃を問う最後の公開部局折衝が開かれる。
 そこで市長はどのような決断を下すのか…?市民の反応は…?果たして、駿馬たちチームが作り上げた財政再建案は議会を通過させることができるのか…?

by fd0005 | 2009-09-19 23:46 | メディアリテラシー 

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